成長

17日、愛知・豊田で行われた春早明戦。試合後の記者会見、ライバル・メイジの田中澄憲監督がワセダの
印象を自ら切り出します。

「ワセダさんなんですけど、昨年と全く違ってタフなチームになったと思います。昨日(16日)もBチームと
1年生チームの試合で、例年は大差になるのですけれども、立ってタックルして、また立ってタックルして…
勝つ事に対してハングリーなチームになったと思いましたし、今日のAチームもそういう部分を感じました。」

象徴的な場面は5-22で迎えた後半20分過ぎ。ゴールラインを背負ったワセダがラックサイドの執拗なアタックを
受け続けるいわゆる早明戦らしいシーン、ここでメイジFWのサイド攻撃を押し返し続けると根負けしたメイジが
BK展開。BKでもトライを取りきれないメイジが再び密集近場に固執するもののここも凌ぎ切って、パイルアップ。
ゴールラインを死守したワセダのディフェンスに7,000人近い観衆から自然と拍手が沸き起こります。

「メイジとの勝負はFWだと思うので、ピックの場面で取られなかったことはワセダとしての粘りを見せられたと
思います。一人一人が50センチの戦い、ちょっとでも押し返そうという気持ちがあったと思います。ラックに
(圧力を)かけ続けないと、ラックの上を行かれたり、いいテンポで出されるので、そこでリロードして、立つ
人数を増やして戦う事は意識していますし、去年までやってきた事がベースにあって、今年更に成長し続け
られていると感じます。」(FL幸重天選手)

「(あの場面は)チームとしての成長と思っています。あそこでいつも取られていたので、そこで皆が気迫を
出して前に前にと意識していたので良かったと思います。しっかり一人が下に入って、もう一人が上に入ると
いう事と、寝る人数を減らして皆が立つ事、相手よりも多く立とうという意識は出来ていたのかなと思います。」
(HO宮里侑樹選手)

最終的にはこの後、ダメ押しのスクラムトライ(ペナルティトライ)を奪われたものの、前後半あわせてスクラム
トライ2つ、キックパスからBKに走られたトライが2つとディフェンスが大崩れしなかった試合に指揮官も手応えを
感じます。

「今日の負けからも学ばなければならないですが、思ったよりディフェンスは我慢できたと思います。メイジさんに
対して選手の意識が高いまま80分間、出来たかなと思います。」(相良南海夫監督)

ディフェンスの改善だけでなく、チームとしての修正力がアップしたと話すのは2年生NO.8丸尾崇真選手。

「後半は良かったと思います。前半との違いはペナルティが少なくなった事で、一番の優先としてはオフサイド
しなくなった事。(今年は)自分たちで考えるようになって、自分たちで修正する力が身についたと思います。
(前週の)天理大戦は崩れたのですけど、そこが崩れずに出来たというのは良かったです。」(NO.8丸尾崇真選手)

フィジカル、メンタル両面で身に付けつつあるタフさで試合の緊張感を最後まで保ったものの、ゲームテーマで
あったゲインラインの攻防で後手を踏んで前半はペナルティ連発、そして試合を通じてスクラムで圧倒されたことが
そのまま敗因となったのもまた事実、FWのキーマンも声を揃えます。

「メイジは接点で一歩でも前に出ようと意識をすごい感じるチームで、そこで受けてしまったなと思います。ワセダ
としても一歩でも引いてしまったらどんどん食い込まれてくるから、そこで勝負しようと話していたのですけど、
全体的に見たら受けている場面が多くて、(負けは)その結果だと思います。」(FL幸重天選手)

「スクラムは相手の重さに対してしっかり組めなくて上に突き上げられたことが多かったので、そこが課題かなと
思います。天理、メイジとスクラムの強いチームとやって自分たちの課題が見えてきました。後ろからのコネクトや
しっかり沈むという事に取り組んできたのですけど、帰ってビデオを見ないと分からないですが、もっと変えないと
行けない部分があったのだと思います。」(HO宮里侑樹選手)

関東春季大会優勝校であるメイジとの対戦で得た手応えと課題…指揮官は記者会見で一足早い春の総括を
求められると次のように答えます。

「ディフェンスに関してはフォーカスして取り組んできたので、選手もストラクチャをだいぶ理解できてきました。
そこは一試合一試合徐々に改善して出来たと思います。アタックはまだ殆ど手をつけてない状態で、一人一人
勝負しようとかまだそういう状態。そこは夏合宿以降しっかりやっていく。」(相良南海夫監督)

23日、ワセダは春シーズン最終戦となる日大戦を迎えます。【鳥越裕貴】



ダブルタックルで相手の攻撃を封じる早大FW陣。HO宮里侑樹選手(写真上は)試合を振り返って
「ペナルティ…規律の部分が課題だったのですけど、そこが前半甘くなってしまった。ただ、ディフェンスの練習を
今週徹底的にやってきたので、前に出るところは出られて一人目がしっかり倒すことも出来た場面もあり、相手の
ミスも誘えていたと思います。課題も出たのですけど、自信をつけられるところは自信をつけられたと思います。」

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