二世

20日、春季大会・法政大戦。2戦連続で背番号9を背負ったのが4年生SH堀越友太選手。
緊張しすぎていたと振り返る先週の中央大戦から比べて余裕が出てきたと笑顔を見せます。

「9番の重みじゃないですけど、見えないものを僕には感じて…。前回が緊張してしまって
自分らしさが出せていなかったので、あまり悪いようにならないよう気持ちの作り方を
意識していました。」

中央大戦ではファーストプレーでいきなりのパスミス。この日は一本目のパスをしっかりと
通すと流れに乗ります。味方が接点を一つ一つ制して前に出るとテンポの良いボール捌きで
攻撃のリズムを生み出します。

「テンポは前回と比べると少しはコントロール出来て、良くなったかなと思います。
古庄さんにも言われていたのですけど、自陣はあまりハイテンポにならず落ち着いて。
逆に敵陣にいったらハイテンポで行こうと。」

早稲田OBで元日本代表…ラグビー界にその名を残す堀越正己氏を父に持つ友太選手が
楕円球の世界に足を踏み入れたのは意外にも遅く中学1年生の時。小学生(早実初等部)の
頃に打ち込んでいたサッカーと野球を止めて「新しい事を始めてみたい」と思っていたところ、
家庭内の何気ない会話が友太選手の心を動かします。

「母親に『早実中等部のラグビー部がなくなっちゃうかもしれないよ』と言われて。結果的に
そんな事はなかったのですけど、父親がやっているスポーツがなくなるのはイヤでしたし、
(ラグビーの)ビデオも家にあったりして、たまに見ていたりしたのでやってみようと。」

それまで父・正己氏からはラグビーを勧められた事はなかったと言いながらも、この一言が
キッカケで早実中等部ラグビー部に入部。

「(ラグビーをやらせる事に成功したと)もしかしたら母は思っているかもしれないですね。」

と笑います。ポジションは父・正己氏と同じSH、

「あまり意識はしていないのですけど始めたての頃に(父親に)教わったので、パスの仕方が
似ているねとはよく言われます。」

俊敏な動きと鮮やかなパスワークで国立や秩父宮を沸かせた父・正己氏とは異なり、友太
選手の持ち味はディフェンス。

「父からはいつも通りやれというのと、お前はタックルが得意なのだからディフェンスで活躍
できるようになれ…とは言われています。今日はあまりディフェンスで足が動けていなかったと
思います。ディフェンス全体が前に出たところの(カバーする為の)僕のコース取りが後ろの方を
走ってしまって…。もう少し相手が抜けてきたところで死角からタックルに入れるような
ポジショニングをしたいです。」

ポジション争いのライバルはルーキーイヤーから絶対的存在となっている3年生齋藤直人選手。

「勿論意識していますし、直人に出来るだけ食らいついていきたいです。直人は全て(の能力を)
持っていると思うのですけど、それでも僕にしかないものを試合で見せていけたら。ディフェンスで
どんどん絡んでタックルして貢献していきたい。」

大学入学時は全く見えていなかったというアカクロジャージに、今も実感はないと照れ笑い。
偉大なる父親の背中を追いかけて、「選ばれたからには思い切りやりたい」と誓う堀越友太選手、
奮闘する二世の姿に注目です。【鳥越裕貴】



前半、パスを捌くSH堀越友太選手。課題はFWとの連携。「(FWが)走りこんできて僕がパスを投げて…
というプレーがあるのですけどそこがあまり連携が取れていなかった。あとスクラムでも連携が取れず、
僕が潰されたシーンがあったので、もう少しコミュニケーションをFWと取っていきたいですし、自分が
ダイビングパスをしていれば捕まることもなかったのでそこが反省ですね。」


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