一丸

23日、伝統の早慶戦。9-21とリードされた後半28分からの連続トライで劇的逆転勝利、指揮官も
興奮気味に話します。

「今日は素晴らしい経験をしたと思いますね。ビッグゲームで予期せぬことが起こって、ちょっと
繊細になって…。そんな中で自分たちの体に染み付いている日常を出せたというのが後半20分過ぎ
から。そこまでハンドリングエラーがあったりしてずっと上手くいかない…ハイプレッシャーの中で
自分たちを出せて乗り越えられたというのは非常にいい経験ができた。なので弱い時の自分と、
強い時の自分、やらなきゃいけない自分…というのがすごく出た試合、しっかり振り返って選手達
には伝えたいと思います。」(山下大悟監督)

連続トライを奪われる苦しい展開、インゴールでLO加藤広人主将はメンバーに話しかけます。

「アグレッシブにアタックしていけば前に出られる。夏からずっと取り組んできた事を全部出そう。」

迷いを断ち切り、一つ一つの接点を制して攻めるワセダに相手の慶應義塾大・佐藤大樹主将は
「最初に食い込まれてしまってから、悪い循環が出てしまった。」と唇を噛みます。

11月に入って、11日に日野自動車、14日にサントリーと社会人相手に合同練習で体をぶつけ合った
成果をしっかりと発揮、選手達も胸を張ります。

「ブレイクダウンの強さをもう一度意識しました。前半足りなかった部分で、後半出来るように
なったのはそこで(社会人と)しっかり練習してきた成果が出たと思います。」(CTB黒木健人副将)

「強い相手と体を当てられたことで、辻選手だったりフィジカルの強い選手相手にも引かずに
行けました。」(PR鶴川達彦選手)

終盤の連続トライで逆転、ノーサイドの笛が鳴るとピッチサイドではチームを縁の下から支える
大藤伊織主務、吉満慎吾学生コーチら4年生が目を潤ませます。その姿を見たCTB黒木健人副将は

「その為にやっているなという感じです。嬉しかったです…いや、ホントに嬉しかったです!」

前半で負傷交替した1年生FB古賀由教選手も号泣、代わって入った4年生中野厳選手は
ルーキーの胸の内を察します。

「1年生なのにエースランナー的な立ち位置ですごいプレッシャーを僕達がかけてしまっている。
試合中は必死だったのですけど、(古賀選手が)すごい泣いていたので、勝利という結果で
終われて安心しましたね。」

出場したルーキー選手も、出場できなかった4年生も…全ての部員が一丸となった勝利に加藤広人
主将も言葉を弾ませます。

「チーム全員で勝てたというのが嬉しかったです。やっぱりラグビーってキツいことの方が多い
のですけど、(チームの思いを背負って)勝った瞬間が一番気持ちいい、やりがいがあった…と
思える瞬間だったのでよかったです。」

チーム力を一段高めた激闘を終え、記者会見の最後に次戦の早明戦に向けた抱負を聞かれた
主将は答えます。

「(今日は途中まで)自分らのテンポを作れていなかったので、そこは修正していきたいと思います。
また自分自身FWなのでセットピースの部分をまだ時間があるのでしっかり修正してより強固なものに
していきたいと思います。」

見出しを求める記者から再度「早明戦に向けて…」と質問されるものの答えは変わりません。

「自分らのテンポを作り出す。相手はメイジですけど、しっかり自分らのペースで戦えるようにして
いきたいと思います。」

同じ質問を受けた山下大悟監督もぶれません。

「メイジさんというよりは自分たちが駆け上がっていかなければならない道というのは決まって
いますので、しっかり日々自分に勝ってやっていければと思っています。」

ライバルは自分自身、日本一を勝ち取るその日までベクトルを内側に向け続けます。【鳥越裕貴】



後半、同点トライをあげるLO加藤広人主将。シーズンもいよいよクライマックス。
「自分らがやってきた事が正しいと思えるのは日本一になった時だけ。自分らのやってきた事を
正しいと信じて、それを証明できるように頑張って行きたいと思います。」

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