貪欲

23日、伝統の早慶戦。ハイテンポなアタックをリードし、難しい角度を含むゴールキックを全て決めて
勝利に大きく貢献したSH齋藤直人選手、試合後メインスタンド下通路で大勢の報道陣に囲まれます。

「慶應はキックゲームのプランを立てていたと思うのですけど、それに付き合ってしまった部分が
あった。前半からもうちょっと攻めの姿勢を持って思い切ってカウンターとか行けば良かったかなと
思います。」

ハンドリングエラーも重なり、自らのテンポで試合を進められなかった前半を反省、後半は自陣から
積極的に仕掛けて流れを引き寄せ、「直人が良いって映る時はチームのテンポを出せている時」
(山下大悟監督)と縦横無尽にピッチを駆け回ります。

「ハーフタイムでの監督の話と少し風下に立ったので(相手の)キックの優位性を考えて。前半に
比べれば良い攻めが出来た。ブレイクダウンの部分でレフリーと前半はコミュニケーションが取れて
なくて、ハーフタイムを通してそこを改善できたのも大きかった。」

そして、2点差勝利の中で大きな意味を持ったのがゴールキック、「調子が良かったのですし、毎試合
毎試合高いパフォーマンスをしているので決めてくれると信じてます。」(加藤広人主将)と仲間も
全幅の信頼を寄せれば、指揮官も後半7分、敵陣10メートルラインからの距離の長いキックを決めた
場面をあげて、気持ちの強さを評価します。

「(スタンド)上からはショットって判断した。岸岡が『風が強い…』と話をしていたら直人が自分から
行けるという風に言ったらしく…。キックで2点、3点というのが大きかったので良かったと思います。」
(山下大悟監督)

慶應義塾のキッカー古田京選手も全てキックを成功させる引き締まった試合の中で齋藤直人選手も
相手へのライバル心がちらり。

「(キッカーを)任されている責任があります。2点って少ないようで、大きいと思うので。古田さんは
今シーズン調子も良くて個人的に結構キックの話もする仲だったので、キック差で負けるのはイヤ
でしたね。」

全体練習後は約20分間、ゴールキックに時間を割きます。「同じ蹴り方をすれば真っ直ぐ飛ぶ」と
練習中は蹴る角度に拘らず、22メートルライン正面からゴールポストに向き合います。同じ蹴り方を
繰り返し行うために大切にしているのは自らのルーティーン。

「3歩下がって、4歩横に。横に行く時も正面に対して90度作って。位置についてからはポストの
一番上の部分を見て…ふふふっ、そこまで聞きます?(笑)」

取り囲む報道陣が一つ一つの動作を次々に細かく質問することに少し照れ笑い、それでも詰まること
なく答えられるのはその動作が体に染み付いている証、今季の精度の高いゴールキックを支えます。

「ひたすらに貪欲でラグビー大好きなヤツ」(SH吉岡航太郎選手)と上級生からも一目置かれる存在、
目標とするプレーヤー、好きな選手を聞かれると次々に名前をあげます。

「国内だったら流さん(現サントリー)、右足も左足も使えてかつテンポも良いので。海外だったら
全然タイプが違うのですけど好きな選手はTJペレナラ(NZ)と、ダニーケアというイングランドの選手。」

2年生にして既にチームの顔、サポートコースを参考にしているというTJペレナラを始め、名選手の
良いところを貪欲に吸収し、更なる高みを目指します。【鳥越裕貴】



後半、コンバージョンを狙う齋藤直人選手。前半には珍しくラックでファンブル、頭をかきます。
「ちょっとブレイクダウンにプレッシャーかけられただけで焦ってしまった。プレッシャーをかけられた
中でも捌けるようにしないと。また試合を通して足が疲れてくるとパスが浮きがちなので修正したい。」

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