指導

4日、中央大Cとの練習試合。チームのアップを支え、選手に檄を飛ばしていたのが4年生の
吉満慎吾学生コーチ。担当するジュニアチームの試合を振り返ります。

「4年生が最後かもしれない試合で、作田とか水野とか良く頑張ってくれて…。最初、
自分も外勤からスタートしているので、そういう同期が頑張っている姿だけでも自分的
には嬉しかったです。ただディフェンスでもビッグタックルというのはそんなになくて…。
返しのところのブレイクダウンでAチームでいうと西田とか幸重がいいタックルしている
のですけど、そういったビッグタックルが見れたらなと…。」

3年生だった昨シーズンは春から夏にかけてAチームでも出場、188cm104kgの恵まれた体で、
ラストイヤーは桑野詠真前主将らが抜けたLOのポジションを争いをリードする存在として
期待されたもののその姿はグラウンドにはありませんでした。

「今年の1月に手術をしてそこから半年、力が戻らなくて…。途中途中で、練習には入って
いたのですけど、正直限界を感じていた部分はありました。」

7月下旬、その様子を見ていた山下大悟監督が学生コーチのポジションを打診するものの
一度はそれを断ります。その後、上井草で練習を続けながらも吉満選手の心の針は激しく
揺れ動きます。

「選手としてやりたかったですし、LOも選手層が薄い中で最後まで頑張りたいという気持ち
もありました。でもケガの状態が戻らなくて、下のチームで終わって…という形もイヤ
でした。」

練習中、後輩に伝えたいプレーがあっても体が言う事を利かずに自分自身が手本を示せない
というもどかしい日々が続きます。

”腹括って、学生コーチになろう”

網走合宿から帰京した山下監督にその決意を伝え、菅平合宿からJJ(Eチーム)、そして
ジュニアチームのFWユニットを担当する事に。「LOで不器用でスキル的な事を教える自信
はない…」と苦笑いする吉満学生コーチが指導で大切にするのは練習への取り組み姿勢。

「下のチームの選手に行くほど、環境のせいにしている選手が多くて…。自分は4年間で
上から下まで体験してきましたけど、上のチームの選手はそれなりの待遇を受けています
けど、いい待遇ほどプレッシャーは大きいですし、やることもやっています。下のチームは
不満だけ持っていて、(やるべき事を)やっていないという選手が多いので、いつも練習の
時には自分との勝負で、環境のせいにせず向き合って、突き進めて行けば道は見えてくる
という事を伝えています。」

それでもコーチとして教えることの難しさ、吉満学生コーチは続けます。

「自分自身、選手の時に意識が低かった…もっともっと出来る事があったのに何で出来な
かったのだろうという気持ちは残っています。選手達は足りないなら、もっともっと
頑張らなきゃいけない…頑張っているとは思うのですけどもう一ランク上の頑張りのレベル
に行かなくちゃいけない…というところを伝えるのが難しいです。」

今年度ただ一人の学生コーチ、学生でありながら教える立場…難しいポジションに悩みも
尽きません。昨年度学生コーチを務めた山崎海さんに食事の席でアドバイスを求めると
吉満コーチの考えを受け止めた上で「それでいい」と背中を押してもらい前を向きます。

「チームの為に…と言うのは簡単なのですけど、みんなラグビーやっているのは自分の為
だと思うので、全員が全員、言い訳せず自分がアカクロを着るために必死でやれば、チーム
がまとまると思います。そういうマインドを持った選手がAチームには多いと思いますし、
(Aチーム以外の)全員が自分がアカクロを着て日本一になるというマインドを持ってくれる
事が大切だと思います。」

自身の叶わなかったアカクロへの思いを選手に託し、今日も吉満コーチの檄がグラウンド
に響きます。【鳥越裕貴】



中央C戦の試合前アップでメンバーに声をかける吉満慎吾コーチ。コーチをやっていて嬉し
かった事に即答。「埜田(啓太。4年)が成蹊戦でリザーブ入った事。埜田も不器用で体を
張るという事しかできないと思うのですけど、それがどれだけ重要かという事を示して
くれたと思います。」

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