期待

28日、対抗戦・帝京大戦。最終スコアは21-40の敗戦、それでも試合後、整列するフィフティーンに
贈られた秩父宮の1万観衆からの大きな拍手は、労いと今後への期待が含まれたものでした。
記者会見の第一声、指揮官の総括にも迷いはありません。

「思ったよりもボールが持てなくて、アタックをもうちょっとしたかったのですけど、そこだけが残念。
帝京大学さんというハイプレッシャーの中でミスも多くて継続できなかった。ただ、今後に向けて
やっていく事が明確になっていますので、更に自分に勝って、いい練習ができるか、ハードに
チャレンジできるか…というところがよく見えた試合。これからどんどん成長していくんじゃないかと
思っています。」(山下大悟監督)

前半終了間際までリードを奪い、後半引き離されそうになっても追撃のトライをあげるなど最後まで
勝機を持てた一戦。夏に0-82で完敗した相手との2ヶ月後の再戦で見せたチームの確かな成長に

「8月は前半25分のノーホイッスルトライのところでゲームが壊れた。まずそこを徹底的に選手たち
には厳しく言ってきて、同時に術もしっかり与えないといけないので、ロジカルに説明して、その為に
これが必要で、これが出来るようになれ…と練習の中で落とし込んでハードにやってきました。そういう
意味ではチーム力が上がっていることは確かです。」(山下大悟監督)

ピッチで戦った選手達にも確かな手応えが残ります。

「夏はああいう結果になってしまって、自分としても恥ずかしかった。夏からやっぱりハードワーク…
具体的にタックラー、ボールキャリアが倒れてから2秒以内に起き上がって次のプレーに参加すると
いうことをやってきましたし、アタックでワセダの速いテンポを出して、テンポで相手のディフェンスを
上回ろうとやってきたのでそこは変わったと思います。」(PR鶴川達彦選手)

「根本的に自分達が強みとするところをもう一回見直しました。アタックの部分を少し変えたのですけど、
一番変わったのは根本的に立っている人数を増やしていくところ。崩れそうになっても自分たちの強み
になる部分を見直して立ち返るところを僕だったり、加藤がしっかり見つけて変えるべきところを変えて、
修正していくところがよくなったと思います。」(CTB黒木健人副将)

「夏は簡単に取られてしまったモールでしっかり守りきることは出来ました。ただショートサイドの部分で
前半の最後だったり取り切られてしまうので、集中力、接点の激しさ、際のスピードを上げていきたいと
思います。(帝京は)重いですけど、僕らもしっかりトレーニングを積んできて自信もあるので十分戦える
という感じはありました。」(LO加藤広人主将)

それでもアタックやセットプレーのミスでボールを失い自陣に戻されて失点、プレーの精度と畳み掛ける
集中力で、王者との差を見せつけられた一戦。「イージーミスが大事な場面で続いてしまった…」
(CTB黒木健人副将)と選手達も異口同音にミスの多さを悔やみ、課題を残します。

「まだまだハイプレッシャーの中で、一人一人のボールキャリアの精度だとか、上から見ていると一歩、
二歩というところが疲れてくると出なかったりだとか…。それもやっぱり帝京大学さんへの耐性、
ビッグゲームへの耐性だと思っています。そこはビデオも見ますけど、厳しくこれからもっともっとやって
いきたい。」(山下大悟監督)

シーズン架橋となる早慶戦、早明戦、そして大学選手権に向けて具体的なプランについても続けます。

「今日の帝京大学さんとの試合で体を当てた経験を忘れないように、これからウインドウマンス
(トップリーグの試合のない期間)もあるのでトップリーグのチームともやりたい。まだ予定ですけども、
そういうプレッシャーを経験しながら成長できれば。」(山下大悟監督)

次に帝京大学と戦う機会があるとすれば舞台は大学選手権。そこでの勝利のイメージは持てましたか?…
シンプルな質問にBKの中心、CTB黒木健人副将は力強く頷きます。

「そうですね。もう一度チャレンジするために来週からの練習を頑張ります。」

木々も色付き始めて凛とした空気に包まれるこの季節、答えは全て上井草グラウンドの中にあります。
【鳥越裕貴】



前半、突進するLO加藤広人主将。苦戦のスクラムを振り返り、「僕らが目指しているものにはまだまだ
遠いと感じています。相手の1、2番に僕らの2、3番のところを割られてしまったり、そこを割られたせいで
(相手の)3番に内に入られ、1番(鶴川)が何もできなくて相手に差し込まれてしまった。スクラムは急に
強くなるものではないので、まだ少し時間があるのでしっかり1日1日積み上げて、より僕らが目指している
ものに近づけるようにして行きたいなと思います。」

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